知っておきたい!介護のいろは

高齢者介護とは ~尊厳をもって生きるお手伝い(お互いの理解)~

厚生労働省では「高齢者が、介護が必要になっても、住み慣れた地域や住まいで尊厳ある自立した生活を送ることができるよう、質の高い保健医療・福祉サービスの確保、将来にわたって安定した介護保険制度の確立などに取り組む」としています。

高齢者とは、一般的に満65歳以上をさしますが、その老化状態には大きな個人差があります。
例えば、70歳で体力が衰えてしまいケガや病気をかかえている人もいれば、90歳で目立ったケガや病気がなく基本的な日常生活を一人で行える人もいます。
いずれの場合も、その人にとって必要な介助(介護)があり、望む場所(地域や自宅など)で、人間らしく暮らせることが大切です。

そのためには、本人にとって必要なこと(物)が何であるか、見極めることが重要です。
視力の弱い人に眼鏡があるように、足の不自由な人に杖や車いすがあるように、身体の衰えた人には補助する道具やサービス、認知の衰えた人にはわかりやすい指示や治療が必要です。
もしも、適切な眼鏡を与えずに代読だけしても、本人はうれしくないでしょう。杖や手すりを用意せずに、何でも手の届く場所に並べても満足とはいえないでしょう。
自分が見たいものを見られる眼鏡や、行きたいところに移動できる手段があれば、たとえ少しの不自由があっても本人は生きがいを持って暮らせるのです。

双方のよりよい関係を保つ
考え方や価値観を理解することが大切です

介護をする人も、してもらう人も、お互いが人間らしい関係を保ち続けたいですね。
「介護してあげるから、こちらの言うとおりにすればいい」と本人の望まないことを押しつけたり、「介護が不十分ですぐにやってくれない」などの不満をぶつけるだけでは、なにも改善しません。
両者のコミュニケーションを通して、考え方や価値観を理解することが大切です。

介護する人が「なぜこの介助をするのか」説明する(「こうすれば楽に動けますよ」などの理由を伝える)。介護を受ける人は「この動作は痛い」と具体的に言う(本人が言わない場合は「この動作が痛いからやりたくないのかな?」と聞く)。それだけでも、問題解決のヒントになるかもしれません。
良かれと思って「散歩に行きましょう」と出かけても、本人は「歩かされて疲れる」と嫌な思いをするかもしれません。しかし、「足のリハビリになって、寝たきりになりにくいですよ」と意味や価値を伝えれば、「私が寝たきりにならないために考えてくれている」と感謝するかもしれません。
それは、認知症の高齢者でも、その会話があるのとないのでは大違いです。むしろ、認知しにくいからこそ「なぜ歩くのか」わかりやすい言葉が必要なのです。

介護についてたくさん話しましょう
介護の先輩や仲間と話してみましょう!

子育てが「0歳の赤ちゃん」と「母親0歳」から始まるように、介護も「受ける高齢者」と「行う家族や関係者」が0歳から失敗を重ねて、その段階に応じてやり方を変えて慣れていくのです。
世の中に同じ親子関係がないように、介護もまったく同じ関係はありません。本人の状態や家庭環境などによって、「自分たちらしい介護」を手さぐりしていきましょう。

でも、子育ての先輩やプロ、ママ同士の会話がヒントになるように、介護の先輩やプロ、介護家族同士の会話は大いにヒントになります。
介護の悩みや不安をひとりでかかえこまずに、このサイトや市町村福祉課などをどんどん利用して、どうぞ良い先輩やプロや仲間をみつけてください。

(文:原 智子)

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